タイタニックでサンデーを

沈みゆくタイタニックでも、サンデーパフェはサンデーだ。

チーノ・何かするわけでもなくただ考え事ばかり

 

 

いつか本で読んだ『人は寂しさを感じないと誰かと一緒になろうとしない』故に、政府が画策してインターネットを全国的に遮断してしまうって話をよく思い出す。フィクションなんだけど、インターネットから離された若者たちは思惑通り、誰かとの繋がりを求めて街へ繰り出し少子化問題が解決されるというオチ。よくできた話だしリアルのことな気もするし。なんだか思い当たる節が1年に3回ほどはあって、そのたびふとこの話が頭によぎる。

 

 

人の原動力は寂しさだと思う。私は高校生の時から美術を専攻し、絵を7年間は描き続けていた。そのとき筆をノらせてくれるのは寂しい気持ちだった。放課後の教室、ひとりで描いていたとき。自分の思想は絵にしないと誰にも伝わらないと感じていたとき。ひっそりと想い人へ当てて描いたとき。誰かに認めてほしかったり共感してほしかったり、ダサいけど、そういう気持ちがパワーになっていた。みんなだってきっとそうだと思うんだけど。

 

今はあまり絵を描いていない。美術とは無縁の仕事に就いたし、良い人と出会って寂しさを感じる生活を送らなくなったから。自分の心のストックには、ふつふつと湧き出るナニかはもうないような気がする。

 

その話では、インターネットのおかげで家に一人でいても寂しさを感じなくなった若者たちが描かれていた。いつだって人と関わりを持つことができる生活に若者たちは満足していたんだろうな。バーチャルでも誰かがそばに居るような生活に満足していたって、アナログが失われた生活ではきっと、私は不満を持つことになりそうだ。

 

短編集の中の話ひとつでココまで考えられるんだから、作品は産まなくとも感性は自分の中に残ってるってことで、創作のない生活に寂しさを感じることもないのかもしんない。

 

 

 

チーノ