タイタニックでサンデーを

沈みゆくタイタニックでも、サンデーパフェはサンデーだ。

解ける夏

靴紐が解けたとか、他人の溜息とか、茹だるような暑さとか。どうでもいいことがきっかけでプツンと糸が切れて、ふとどこか遠くへ逃げ出したくなる。


それなのに、本当にピンチな時ほど意外と冷静に対処できてしまって。助けを求めたい時に、何でもないふりをしてしまうの人生で何回目だろう?つくづく可愛げのない人間だと、自分で自分が嫌になる。


雨は好きだけど、夏の雨は嫌い。晴れはもっと嫌い。でも、夏の夜はなぜか好き。そういえば花火と夏祭り、今年はどちらもまだだった。


そんな今年の夏、ついに私は逃げ出してみた。会社と家の往復と、見飽きたいつもの景色から。初めて一人で飛行機に乗って、唐突に韓国まで旅に出た。言語すら通じず、誰も私を知らない場所なのに、何故だか心地良い。とはいえ当てが無いわけではなく、夜には現地にいる友人と合流する。韓国語がペラペラな友人は、観光客のいない店にも連れて行ってくれるので、より本場を満喫できた。いつもの景色から逃げたことで、固まっていた私の心は解けたのだった。

 

初日の夜に、Nike AirMax 97を買う。日本で見つけていてもきっと購入までは至らないはずなのに、不思議と直感が働いた。帰国してからも、足元を見るとあの日の記憶が蘇ってくる。この靴の紐なら、立ち止まってゆっくりと結び直せるような気がする。

 

 

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